鳥から感染する病気
鳥から人に感染する病気や
鳥が伝染させる病気があることを
知っていますか?
動物から人、人から動物へと感染する病気のことを人獣共通感染症と呼びます。狂犬病やエキノコックス症、カンピロバクター症などが有名ですが、鳩や雀などの身近な鳥が媒介する人獣共通感染症もあることをご存知でしょうか。
鳥自体が病原体を保有していることもあれば、落ちている羽やフンから感染が広がる病気もあります。鳥から人間はもちろん、飼っているペットや家畜に感染する可能性もあるので注意しなければなりません。
ここでは鳥が原因となる病気の中でも代表的なものを解説します。

鳥インフルエンザ
鳥の病気と言われて一番初めに連想するのは鳥インフルエンザではないでしょうか。ニワトリの病気というイメージが強いウイルス性の感染症ですが、野生の鳥が感染することは少なくありません。感染したハトやカラスのフンからウイルスが空気中にばらまかれて人に感染すると考えられています。
1997年に香港で初めて人への感染が確認され、2025年にはアメリカで死者も発生しています。基礎疾患などのない一般の人へのリスクは高くないとされてますが、決して軽視できない感染症です。

クリプトコッカス症
クリプトコックス症と表記されることも。
野生の鳥、特にハトのフンの中で真菌が繁殖し、乾燥して空気中に飛散したものを吸い込むことで感染する病気で、患者は年間数百人と言われています。症状が風邪に似ていることや、レントゲンで違う病気に誤診されるなどしてしまい、専門医にかからなければ何の病気か分からないままということも。
レントゲンで肺ガンだと診断された患者が、手術してみるとクリプトコッカス症だったという事例もあります。

オウム病
その名の通り、オウムやインコ、ニワトリなどに感染する病気ですが、人や犬・猫にも感染する病気です。鳥類同士では接触感染や空気感染が経路となりますが、人に対してはドバトの保菌率が高く感染源になりうることが指摘されています。
糞が乾燥した粉じんを吸い込んでしまうことで感染し、発症すると突然38℃以上の発熱があり、咳やたん、頭痛、関節痛、筋肉痛など、インフルエンザに似た症状がみられます。重症化すると呼吸困難や意識障害を引き起こすこともあるので要注意です。

鳥アレルギー
鳥類の羽毛やフンなどに含まれるタンパク質が原因となってアレルギーを引き起こすこともあります。正式には鳥関連過敏性肺炎と言い、発熱や咳、呼吸困難などの症状があります。
飼っている鳥が原因で発症することが多いため『鳥飼病』とも呼ばれますが、ハトやスズメ、ムクドリなどが群れをなしてフンを落としていくことが原因となる可能性も否定できません。鳥の糞が堆積するような状態にならないように、早めに鳥よけを実施することが一番の対策となります。

健康被害・その他
トリサシダニ、ワクモ、スズメサシダニ、ノミなど、野生の鳥にはさまざまな虫や寄生虫、菌類、ウイルスが付着しています。
また、トキソプラズマ症やヒストプラズマ病、サルモネラ食中毒などの原因となる病原体を媒介することもあるので注意が必要です。
鳥インフルエンザや豚コレラなど、家畜に甚大な被害をもたらす病気を運ぶ危険性も指摘されており、人だけでなくペットや家畜への接近も防いだ方が良いでしょう。
接触はもちろんのこと、落ちているフンや羽などが原因となることも少なくないため、徹底した防鳥対策が健康被害を予防する第一歩と言えます。


ハトやスズメ、カラスにムクドリ、そしてコウモリなど、鳥害の原因となる鳥はさまざま。それぞれ生態が違うので、もたらす鳥害も効果的な防鳥対策も異なります。まずは鳥について知ることから始めましょう。

「なんとなく嫌だなぁ」という感覚や、汚損や健康被害など、鳥害の種類もさまざま。放っておくと被害が大きくなっていく可能性もあるので、早めに対策することが大切です。

鳥に付いている寄生虫やフンが原因となる病気はもちろん、鳥インフルエンザやオウム病のように鳥から人に感染する病気もあるのです。「実害はないから」と放置しておくと大変なことになるかも…?

人間の生活圏には外敵を避けやすい、巣を作りやすいなどの理由から鳥害を受けやすい場所があります。鳥の習性を知り、事前に備えておくことで鳥害を未然に防ぎましょう。